夏の野外コンサート





 ある日、J-WAVEを聞いていると、「葉加瀬太郎コンサート。よみうりランド・イースト。出演は葉加瀬太郎、小松亮太、西村由紀江、小曽根真、他。元ちとせ出演決定!」と言うアナウンスが流れました。えー?!野外コンサート?!季節が良いし行ってみようかな?とゲスト出演者につられて行く事にしました。閉店直前のチケット売り場に行くと、最後の列から一つ前の席が空いているとの事でした。道路一つ挟んだところに芝生席があるけれど、自由席だそうなので、、指定席をgetしました。初めて野外にひかれて行く事にしたとはいえ、事前になんにも知らないのはまずいと思い、会場の事や最寄り駅の事など詳しく聞くと、チケット売り場の方が、丁寧に教えてくださいました。


 当日は午前中に乳腺外来に定期検診に行く予定でしたので、そちらから直接回るか、一度帰宅するかを決めかねて家を出ました。私の元気の秘訣は、定期検診と言っても過言ではありません。職場での定期検診をベースに、足りない所はそちらから紹介していただきました。この環境に感謝しています。銀座駅の改札をでて、前の方が売り場のおばさんに道を聞いていたので、その後ろについていました。その方が動いた後で、「どっちに行くの?」としたしげに気軽に声をかけてくださり、番地を言うと、じつに無理なく的確な言葉で方向を指示してくださいました。さすが、道を聞かれ慣れているんだなーと妙に関心しました。久しぶりにお会いした先生に、パートナーは私より先に、「こんにちは!」と挨拶に行き、ちょっと恥ずかしかったです。「また元気で会いましょう!」とお互い笑顔で別れました。


 外にでると、安堵感と真夏の昼の陽ざしでボーっとしてしまい、4丁目の交差点手前で方向を決めかねていました。ふと、なんだかこんな時に蜃気楼が見えそう!等と危ない思いがしたときに、「どちらに行きますか?」と若い男性が声をかけてきました。「安くてゆっくりできそうな食事のできる所を探しているんです。」と言うと、「あまり銀座には詳しくないんですが、ハンバーガーショップと・イタリア風カフェ、ファッションビルの1階にあるカフェ、そして、老舗のパン屋さんの2回が見えますよ。」と教えてくださいました。お礼を言い、方向を確認してからファッションビルの1階に向かいました。コーヒーとサンドウィッチ・デザートを注文しましたが、けっして安くはありませんでした。でも、カップや内装の豪華さ、そしておいしさに納得でした。ゆっくり休んでからトイレをお借りしましたが、なんと洋式ヲシュレットつき便座のボタンのそばには点字でボタンの説明が付いていました。さすが先進的な所だと感心しました。できれば水洗ボタンの所のそばにも点字表示が欲しかったです。緊急ボタンとまちがえていないか、ドキドキしながら押すことが多いんです。


 そして、いよいよよみうりランドに向かいました。銀座から地下鉄銀座線・都営浅草線・新宿線と乗り継ぐと、京王線に乗り入れています。途中の乗り換えの時に、少々道に迷い、通りがかりの方に案内していただきました。一緒にエスカレーターに乗っている時等にふとパートナーの頭に手をやると、その方の手がありました。「すみませんが…」と言うと、「あら、いけないの?」と聞かれ、「気が散ってしまうので。」と言うと、「そう。」と分かってくださいました。手が届きやすい位置ではありますが、そんな時にパートナーにとって本当のやさしさって・愛ってなんだろうと妙に悲しくなりました。貴重な時間を割いて案内していただいているので、失礼があっては申し訳ないし、複雑な気分になりました。


 よみうりランド駅でゴンドラに乗ろうとすると、「お客様、犬はゴンドラに乗れません。少しお待ちください。」との係りの方。今時珍しいとゆっくり待っていると乗車は許可され、通常はノンストップで動くゴンドラのスピードを落としてくださり、無事乗車しました。係りの方が一緒でしたので、「この道は歩けますか?」と聞くと、「『巨人軍への道』と言う坂道がきついので、このゴンドラで行くのが一番です。」との事でした。私はかってに『巨人の星』の特訓シーンを思い出していました。よみうりランドに着くと、強い陽ざしと蝉時雨が迎えてくれました。空き地で持参した水をパートナーにあげましたが、本当においしそうに飲みました。最近おきにいりのペットボトルホルダーに冷蔵庫にあった保冷剤を二つ入れてきて良かったです。トイレをすませて周囲を散策しましたが、自力でイーストまではたどり着けない広さと分かり、入り口のインフォメーションの場所を聞いて、その方に案内をお願いしました。私が探していたのと逆の方でした。私のトイレによって、ペットボトルのお茶を買い、客席に向かいました。ソーセージや食べ物とビール・夏の木や草の香りと隣の方のバラのコロン、そして蝉時雨とジェットコースターの叫び声の中でコンサートは始まりました。


 さわやかな風とともにオープニングからすてきな演奏でした。弦楽器とピアノ・ギター・パーカッションがメインのハウスバンドがベースで、それにゲストが加わったり、別のパターンでの演奏がありました。コンサートを楽しみに来ているお客様の質が高く、ミュージシャンをここちよく乗せていました。拍手はうちわの音が混ざっていました。演奏が進むにつれて、夕暮れを迎え、あたりは日暮れて夕闇に包まれ、幻想的な雰囲気に包まれました。。私が知っているピアニストと勘違いしていた小松亮太さんのバンドネオンがとてもすばらしく、他にもアイリッシュ音楽を演奏するグループや元ちとせさん等、すてきなゲストに大満足でした。私が一番感動したのは、新人のガッツなにがしと言う男性で、「カーティス・メイフィールドの"people get ready"を歌います。」と言うのです。ちょっとビックリしました。私の好きなこの曲はロッド・スチュワートで有名です。それをあえてオールド・ソウルシンガーに拘るとは、いったいなにものかと聞きいると、ぐいぐい心を捕まれて、思わず会場の多くの人のように、一緒に歌い出していました。その後は最後まで総立ち状態でした。コンサートが終了するとあたりはすっかり夜の闇に包まれ、終了していたジェットコースターが動き出しました。


 帰途につくと、様々な年齢の方が一緒でした。あと何十年立ってもコンサート通いは止められないなーと感じて、私もすてきに歳を重ねたいと思いました。心配した天気も崩れず、すてきなコンサートに大満足で帰宅しました。自然と一体になったこのような野外コンサートはやみつきになりそうです。





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